用語集(水質関連)

公開日 2019年07月11日

アオコ ・EC(電気伝導度) ・栄養塩 ・汚濁負荷量 ・外観 ・化学的酸素要求量(COD) ・環境基準 ・健康項目 ・湖沼 ・色度 ・自浄作用 ・臭気 ・硝酸性窒素 ・水温 ・水質汚濁防止法 ・生活環境項目 ・生活排水 ・生物化学的酸素要求量(BOD) ・生物分解 ・大腸菌群数  ・地下水汚染 ・全窒素 ・透視度 ・75%水質値 ・ノルマルヘキサン抽出物質 ・pH(ピーエイチ)(水素イオン濃度) ・富栄養化 ・浮遊物質量(SS) ・閉鎖性水域 ・溶存酸素量(DO) ・リン ・類型指定

アオコ

富栄養化(ふえいようか)の進んだ湖沼(こしょう)などで、植物プランクトンの異常増殖により、水面が緑色、あるいは青色に変色する現象。春から夏にかけて発生することが多く、大量に発生すると腐敗して悪臭をだしたり、魚介類の大量死をもたらすことがある。山間のダム湖などで赤褐色ないし黄褐色を呈するものを淡水赤潮(たんすいあかしお)といって区別することが多い。

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EC(電気伝導度(でんきでんどうど))

電気伝導度(electrical conductivity)は、電気の通しやすさの尺度で、水中に溶けている物質の量を短時間で測定できる。電気伝導度が高い値ほど、水にさまざまな物質が溶解していることをしめす。単位はミリジーメンス毎メートル[mS/m]。

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栄養塩(えいようえん)

炭素、水素、酸素以外の無機塩類のうち、植物の生命を維持する栄養分として必要な、リン窒素、カリウム、ケイ素などの主要元素とマンガン等の微量元素のこと。水中では、これらのうち、カリウムやケイ素は、植物が必要とする量に比べて豊富にあるが、リンや窒素は不足傾向にあり、植物が繁殖するための制限要素となっている。このため、リンと窒素が何らかの理由で増加すると、藻類(そうるい)などの植物プランクトンが大量発生し、各種の水質問題を引き起こす場合がある。特に、湖沼やダム湖あるいは内湾などの水の出入りや交換が少ない閉鎖性水域(へいさせいすいいき)では、窒素やリンが過剰に流入すると富栄養状態となり、藻類が大量発生し、アオコ、赤潮などとよばれる現象が起きやすくなる。

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汚濁負荷量(おだくふかりょう)

河川水等を汚濁する物質量。主としてBODSS、N、Pの一日あたりの重さで表される。これは都市下水や工場排水などの汚濁源から河川等へ排出される放流量とその汚濁物質の濃度の積でしめされる。湖や閉鎖性の海域などでは汚濁物質がたまりやすいため、流入する河川の汚濁の濃度ばかりでなく、汚濁物質の総量も問題となり、この汚濁負荷量を減らすことが重要となる。

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外観(がいかん)

外観とは、ガラス容器等にくみ上げた水の濁りの程度や水の色の状態をいう。外観の観察によって、水の汚染の有無や含まれている物質を推定できる場合もある。

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化学的酸素要求量(かがくてきさんそようきゅうりょう)(COD)

水中の有機物などを酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したもの。特定の物質をさすものではない。日本における測定方法は、硫酸酸性(りゅうさんさんせい)で過マンガン酸カリウムにより沸騰水浴中(100℃)で30分間反応させたときの消費量を測定する方法が用いられる。水中の有機物のおおよその目安として用いられるが、2価鉄や亜硝酸塩(あしょうさんえん)などが存在する場合はそれらの量も測定値にふくんでしまう。

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環境基準(かんきょうきじゅん)

人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準のこと。行政上の目標であり、各種の規制措置や施設整備等の施策を立案する際の根拠となります。公共用水域における水質の環境基準については、全国一律基準の健康項目(継続的に摂取することにより人の健康をそこなうおそれのある27物質)と水域の利水(りすい)目的に応じた類型(るいけい)ごとに基準値が設定されている生活環境項目BODCODなど12項目)があります。

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健康項目(けんこうこうもく)

「人の健康の保護に関する環境基準」で指定されている項目のこと。水質汚濁物質の中で特に有害性の強いものに関して基準が設定されている。上水道の通常の浄水処理過程では健康項目にあげられている重金属類(じゅうきんぞくるい)や有機塩素化合物(ゆうきえんそかごうぶつ)、農薬などをとりのぞくことは難しいので、環境基準は水道水質基準とほぼ同様のきびしい値が設定されている。

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湖沼(こしょう)

湖沼は上水などの水源となるばかりでなく、水質浄化、生態系の保持、地下水涵養(かんよう)、気候調節など様々な環境機能をもつ。しかし、閉鎖性の高い水域であり、汚濁物質がたまりやすいため、環境基準の達成状況は悪い。また富栄養化(ふえいようか)にともない各種の問題が生じている。

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色度(しきど)

色度は水中に含まれる溶解性物質及びコロイド性物質が有する類黄色~黄褐色の程度のこと。この色は天然水に最も普通にみられる色で、主な原因は地質からくるフミン質によるものだが、下水や工場排水の流入によることも少なくない。

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自浄作用(じじょうさよう)

水域に汚濁物が流入しても、自然の浄化作用によって汚濁物の濃度は次第に減少する。これを自浄作用といい、
 物理的作用:水による希釈・拡散や沈殿等によって見かけ上の水中の汚濁物質濃度が減少
 化学的作用:酸化・還元・凝集・吸着等の作用により汚濁物質が無害のものに変化したり水中に溶けにくくなったりするもの
 生物的作用:汚濁物質が生物により吸収・分解を受ける
の3つからなる。

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臭気(しゅうき)

「におい」の指標。環境中に発生しつつある危険を前もって予知するための有力な指標となる。水の臭気は、藻類(そうるい)が発生するかび臭物質、放線菌(ほうせんきん)など生物の繁殖、工場排水、下水の混入、地質などのほか水の塩素処理にも起因する。地表水では、湖沼富栄養化(ふえいようか)、河川の汚濁など、地下水では硫化水素(りゅうかすいそ)、鉄分、鉄細菌などにより臭気が発生する。

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硝酸性窒素(しょうさんせいちっそ)

硝酸塩(しょうさんえん)として含まれている窒素のことで、水中では硝酸イオンで存在する。肥料成分の他、肥料や家畜のふん尿、生活排水に含まれるアンモニウムが酸化されて生成する、作物に吸収されなかったものは、公共用水域に流出し、富栄養化(ふえいようか)の原因となる。また、硝酸性窒素と同様に水質汚染の原因となる亜硝酸性窒素(あしょうさんせいちっそ)は、亜硝酸塩(あしょうさんえん)として含まれている窒素のことで、水中では亜硝酸イオンとして存在し、地下水の汚染を引き起こす。肥料や生活排水に含まれ、きわめて不安定な物質。同様に公共用水域に流出し、富栄養化の原因となる。

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水温(すいおん)

水温は水中に溶けている物質の化学的変化や生物の活動と密接な関係があるので、水質に大きな影響を与えます。水温を計ることはその水の起源―河川水、伏流水、温泉、湖沼水、排水等を判定する要素となる。

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水質汚濁防止法(すいしつおだくぼうしほう)

工場・事業場からの排水の規制や生活排水対策の実施を推進することによって、公共用水域(こうきょうようすいいき)の水質汚濁の防止を図ることを目的とした法律(昭和46年6月施行)。汚濁物質を排出する施設が政令で指定されており、排出基準に適合しない排出水を公共用水域に排出してはならないとされる。

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生活環境項目(せいかつかんきょうこうもく)

水質汚濁に係る環境基準で、「生活環境を保全する上で維持することがのぞましい基準」として設定された項目のこと。これには、pHDOBODなど12項目があり、河川、湖沼、海域別に、利用目的に適応した類型(るいけい)によってそれぞれ基準値が定められています。

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生活排水(せいかつはいすい)

台所、洗たく、風呂などからの排水と浄化槽からの排水を合わせて生活排水という。
このうち浄化槽排水を除いた排水を生活雑排水という。生活雑排水は下水道や浄化槽に接続している家庭ではし尿とともに処理されるが、その他の家庭では未処理のまま流されており、公共用水域の汚濁原因となっている。

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生物化学的酸素要求量(せいぶつかがくてきさんそようきゅうりょう)(BOD)

溶存酸素(ようぞんさんそ)が十分ある中で水中の有機物が好気性微生物(こうきせいびせいぶつ)により分解されるときに消費される酸素の量のこと。普通20℃で5日間暗所で培養したときの消費量を指す。有機物汚染のおおよその指標とされるが、微生物によって分解されにくい有機物や、毒物による汚染の場合は正しい値とはならない。逆にアンモニアや亜硝酸(あしょうさん)が含まれている場合は微生物によって酸化されるので、測定値が高くなることがある。BODが高いとDOが欠乏しやすくなり、BODが10mg/L以上になると悪臭の発生などが起こりやすくなるといわれる。

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生物分解(せいぶつぶんかい)

微生物による有機物の分解作用のこと。水中に入ってきた有機物はまず好気性微生物により酸化分解され、二酸化炭素、硝酸塩、硫酸塩などになる。十分な溶存酸素がない場合は、溶存酸素を使いはたしたのち、嫌気性微生物(けんきせいびせいぶつ)による分解が進み、最終的にメタンやアンモニア、硫化水素などが生成される。水処理技術の生物処理はこれらの好気性ないし嫌気性分解過程を応用したもので、高濃度の汚水を効率よく分解する。下水処理やし尿処理がその代表。

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大腸菌群数(だいちょうきんぐんすう)

大腸菌及び大腸菌と性質が似ている細菌数のこと。水中の大腸菌群数は、し尿汚染の指標として使われる。汚濁要因としては、人や哺乳動物のふん便性由来のものが主であるが、土壌、汚水など自然界に由来するものもある。

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地下水汚染(ちかすいおせん)

汚染の原因としては、農場やゴルフ場などからの農薬、汚染土壌等からの重金属(じゅうきんぞく)や化学物質、またドライクリーニングなどからもれだす揮発性有機化合物(きはつせいゆうきかごうぶつ)などがある。地下水環境基準では、重金属や揮発性有機化合物、農薬など28項目についての基準が定められている。

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全窒素(ぜんちっそ)

全窒素は、アンモニア性窒素、硝酸性窒素などの窒素化合物の総和である。ただし、窒素ガスとして溶存している窒素は含まれない。窒素は動植物の増殖に欠かせない元素であり、富栄養化の要因となる。湖沼閉鎖性水域などではプランクトンの異常増殖の要因となり赤潮等を引き起こす。湖沼、海域には全窒素という指標で環境基準が設定されているが、河川にはない。富栄養と貧栄養の限界値は0.15~0.20mg/L程度とされている。

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透視度(とうしど)

水の中に含まれる浮遊物質(ふゆうぶっしつ)やコロイド性物質等による濁りの程度を示す指標。水の透明さを簡単に測るときに適している。底の平らな直径3センチ、高さ30~100センチ程度の下口付きのガラス管に水を入れ、その底においた標識板(ひょうしきばん)の二重十字が明らかに識別できる限界の水の厚さを1cmを1度として表したもの。これは個人誤差もあり、ガラス管にあたる光の具合で値が異なることもあるが、特別な器具を要さないことがこの測定法の特徴である。一方、湖沼や海域においては、透明度が用いられ、透明度板(とうめいどばん)(径30cmの白色板)を水中に沈め、それが周囲と区別できなくなる深度をメートルで表す。

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75%水質値(すいしつち)

年間の全測定データ(日間平均値)を小さい方から順に数えて全体の75%に該当する値。BOD(河川)、COD(海域、湖沼)の環境基準の評価はこの値で行う。

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ノルマルヘキサン抽出物質(ちゅうしゅつぶっしつ)

ノルマルヘキサンにより抽出される不揮発性物質(ふきはつせいぶっしつ)の総称。水中の油分を表すものとして用いられるが、ヘキサンにより抽出されるものは、油分以外に農薬、染料、フェノールなどがある。ノルマルヘキサン抽出物質は河川には環境基準値がなく、海域に定められている。

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pH(ピーエイチ)(水素イオン濃度)

pHは、水の酸性・アルカリ性の度合いを表す指標。pHが7のときが中性で数字が低いほど酸性が強く、高いほどアルカリ性が強い。河川水では通常7付近であるが、海水の混入、流域の地質(石灰岩地帯など)、人為汚染(工場排水など)、植物プランクトンの光合成(特に夏期)などにより酸性あるいはアルカリ性になることがある。

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富栄養化(ふえいようか)

湖沼や内湾などの閉鎖性水域で、水中の窒素・りん等の栄養塩類(えいようえんるい)の濃度が増加する現象。進行すると植物プランクトンが異常繁殖し、赤潮やアオコが発生する(このことを富栄養化と言う場合もある)。富栄養化がさらに進行すると、水中の溶存酸素が不足し、魚類や藻類が死に、水は悪臭を放つようになる。

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浮遊物質量(ふゆうぶっしつりょう)(SS)

水中に浮遊又は懸濁している直径2mm以下の粒子状物質のこと。鉱物による微粒子、動植物プランクトンやその死骸、下水、工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿物が含まれる。浮遊物質が多いと透明度などの外観が悪くなるほか、光の透過がさまたげられて水中の植物の光合成に影響したりする。

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閉鎖性水域(へいさせいすいいき)

湖沼など水の出入りが少ない水域のことで、一般に水質汚濁が進行しやすい。また、閉鎖性水域では、高水温期に安定な水の層を形成することがあり、その結果、底層が停滞し、堆積した有機物の分解に大量の酸素が消費され、底層水が貧酸素あるいは無酸素状態となる。これが長期化すると海底は嫌気性(酸素のない)環境となって底泥が還元性分解(かんげんせいぶんかい)をともなうようになり、硫化物を生じて黒色化し、猛毒の硫化水素発生の原因ともなる。

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溶存酸素量(ようぞんさんそりょう)(DO)

水中に溶けている酸素の量。酸素の溶解度は水温が高くなると小さくなる。DOは河川や海域の自浄作用や水生生物の生活に不可欠なもので、一般に魚介類が生存するためには3mg/L以上、好気性微生物(こうきせいびせいぶつ)が活発に活動するためには2mg/L以上が必要とされ、それ以下では嫌気性分解(けんきせいぶんかい)が起こりやすい。

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リン

リンは窒素と同様に、動植物の成長に欠かせない元素であるが、過剰に存在すると水域の富栄養化の原因となる。全リン(総りんともいう)はリン化合物全体のことで、無機態リンと有機態リンを含む。無機態リンはオルトリン酸態リンと重合リン酸に分けられ、有機態リンは粒子性有機態リンと溶解性有機態リンに分けられる。このうち、粒子性有機態リンは藻類などの体内に取込まれた状態で粒子として存在し、溶解性有機態リンは水に溶解している状態で存在している。富栄養化の目安としては、0.02mg/L程度とされている。

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類型指定(るいけいしてい)

水質汚濁に係る環境基準については、生活環境の保全に関する環境基準について6段階に区分された類型ごとに基準値が示されている。これに基づき国及び県が河川の利水目的等に合わせて適用する類型を指定すること。

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この記事に関するお問い合わせ

高知県 健康政策部 衛生環境研究所

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