公開日 2022年05月12日
酸性雨の概要
石油や石炭などの燃焼によって大気中に放出される排ガスの中には、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質が含まれています。これらは大気中で太陽光の紫外線をうけ、硫酸や硝酸などの酸性物質となり、雲(水蒸気)に取り込まれ、酸性雨となります。
大気中の二酸化炭素(CO2)が雨水に十分溶け込んだ(飽和した)時の水素イオン指数(pH)がおよそ5.6のため、pH5.6は酸性雨の1つの目安になります。しかし、二酸化炭素以外の自然由来の影響(火山からのガスや山火事の影響など)により、pHが5.6より小さくなることがあります。
また、pHはアルカリ性物質と酸性物質のバランスを示す指標なので、非常にきれいな雨だとごく少量の酸性物質で低いpHになりますが、汚れていろんなものが溶け込んでいる雨だと、少々の酸性物質ではpHはあまり下がりません。そのため、pHだけではなく、雨に含まれている物質を調べることが重要です。
環境への影響と国内の状況
酸性雨は、発生地だけでなく周辺の国や地域にも影響を及ぼします。欧米諸国では酸性雨による樹木の枯死や、河川や湖沼での魚介類への影響などが数多く報告されています。
日本においては、全国平均でpH4.8付近が観測されています。また、環境省の調査では、日本海側において冬季に硫酸イオン、硝酸イオン濃度及び沈着量が増加する傾向がみられ、大陸からの影響が示唆されています。現在まで、酸性雨による樹木の衰退や土壌の酸性化等の影響は認められていませんが、今後、影響が顕在化する可能性があり、原因物質の発生抑制など、酸性雨の予防に努めることが必要です。
高知県のpHは全国平均と同じレベルですが、原因物質の濃度は低くなっています。
酸性雨は地球規模の環境問題
酸性雨は、国境を越えた地球レベルの環境問題として捉えられています。そのため、酸性雨問題の解決には、世界各国が共通の認識のもと協力していく必要があります。
東アジア地域では「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」が日本のイニシアチブにより組織され、現在13ヶ国(中国、インドネシア、日本、マレーシア、モンゴル、フィリピン、韓国、ロシア、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)が参加しています。EANETでは、東アジアにおける酸性雨問題の共通理解と問題解決に向けた情報の共有、活動協力を推進することを目的としています。高知県衛生環境研究所は酸性雨の調査を行い、EANETの活動に協力しています。
アジア大気汚染研究センター(ACAP) ホームページへ(外部サイト)
高知県の取り組み
高知県衛生環境研究所では、県内の酸性雨の状況を把握するため昭和58年度から酸性雨調査を行っており、現在は環境省の委託により、梼原町の梼原酸性雨測定所(EANET参加)において雨水の水素イオン指数(pH)など10成分(表1)の分析等のモニタリング調査を行っています。
表1 雨水の調査項目
水素イオン指数(pH) | |
電気伝導率(EC) | |
陰イオン(硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン) | |
陽イオン(アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン) |
酸性雨の報告書や測定データはこちら
日本の酸性雨実態について
環境省 越境大気汚染・酸性雨対策調査(外部サイト)
梼原酸性雨測定所
東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET) ホームページへ(英語外部サイト)
香北測定局(香美市:2018年度廃止)
高知県における酸性雨調査(2010~2017年度)(PDF:38MB)
この記事に関するお問い合わせ
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電話: | 総務担当 088-821-4960 |
企画担当 088-821-4961 | |
保健科学課 088-821-4963 | |
生活科学課 088-821-4964 | |
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メール: | 130120@ken.pref.kochi.lg.jp |
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