17ページ Ⅲ在宅生活等への移行や就労支援の目標 福祉施設や精神科病院から在宅生活やグループホーム等での生活への移行、就労支援について、これまでの実績や地域における課題等を踏まえ、次のとおり目標を設定します。 1 福祉施設の入所者の在宅生活等への移行 平成26年度から平成29年度末までに入所施設から在宅生活等に移行する人の目標 九十四人 うち、平成26年7月末までの実績 十五人 この「入所施設」とは、ここでは、障害者支援施設を指します。 平成29年度末における施設入所者数の目標(平成25年度末現在千二百九十七人) 千三百五人 平成26年7月末現在の施設入所者数 千三百四人 この「施設」とは、児童福祉法の改正により、18歳以上の入所者について障害者総合支援法に基づく障害者支援施設等として利用させることとした施設を除きます。 (1) これまでの実績 第3期計画では、平成18年度から平成26年度末までに四百十一人が入所施設から在宅生活等へ移行するとともに、施設入所者数を千二百十一人とすることを目標としていました。 これに対して、平成26年7月末時点で、目標の八十パーセントにあたる三百二十九人が在宅生活等に移行しており、そのなかで6割を超える人がグループホーム等に移行しています。 施設入所者数は、平成26年7月末時点で千三百四人人となっています。 (2) 目標設定の考え方等 現に施設に入所している人の障害や家族の状況、年齢、地域のサービス提供基盤の整備状況等の他、計画策定にあたって県及び市町村が実施したアンケート調査の結果などを参考にしながら市町村が見込んだサービス利用量の算出結果などから、在宅生活やグループホーム等での生活に移行する人の目標を九十四人と設定します。また、施設入所者数は、ほぼ横ばいの千三百五人とします。 18ページ (3) 目標達成への取り組み ①障害や障害のある人に対する理解の促進 ○障害のある人が地域で安心して暮らしていくためには、県民一人ひとりが障害や障害のある人を理解し、障害のある人もない人も、お互いに人格と個性を尊重することが必要です。 そのため、県・市町村の広報媒体やイベントの開催などの啓発活動を通じて、県民の障害や障害のある人に対する理解を促進します。また、障害者団体や福祉団体などが主体的に行う啓発活動や交流活動を支援します。 ②相談支援体制等の充実 ○「地域移行支援」や「地域定着支援」を実施する指定一般相談支援事業所やサービス等利用計画を作成し地域生活の支援を行う指定特定相談支援事業所の設置を促進し、市町村や障害福祉サービス事業所と連携して相談支援体制の充実を図ります。 ○障害のある人の在宅生活等を支えるため、市町村や関係事業所などと連携を図りながら、訪問系サービスや短期入所、地域生活支援事業など、在宅サービスの充実に努めます。 ③住まいの場の確保 ○独立した生活を目指す人が支援を受けながら生活するグループホームの充実を図るため、施設整備に対する助成を行いながら積極的に整備を進めます。 ○希望する人が可能な限り在宅生活が続けられるよう、住宅改造への助成を行うことにより、住環境の整備を進めます。 19ページ 2 入院中の精神障害者の退院促進 平成29年度における入院後3か月時点の退院率の目標 七十点八パーセント 平成29年度における入院後1年時点の退院率の目標 九十二点六パーセント 平成29年6月末時点の1年以上在院者数の目標 千六百二十六人 (1) これまでの実績 第3期計画では、平成二十六年度における1年未満入院者の平均退院率を八十四パーセントとする目標と、平成26年度における入院期間が5年以上かつ六十五歳以上の入院者のうち、家庭復帰及び高齢者施設等への退院者を二十四人とする目標を定めました。 平成25年度における1年未満入院者の平均退院率は七十点一パーセントとなり、計画策定時から五点五ポイント向上しました。また、平成二十五年度における入院期間が5年以上かつ六十五歳以上の入院者のうち、家庭復帰及び高齢者施設等に退院した人は十七人でした。 (2) 第4期計画における指標 国の基本指針では、入院医療中心の精神医療から精神障害者の地域生活を支えるための精神医療への改革の実現を目指すという基本方針を踏まえ、第4期計画における入院中の精神障害者の退院促進に関する数値目標として、新たな指標が次のとおり示されました。 ①入院3か月時点の退院率については、平成29年度における目標を六十四パーセント以上とする。 ②入院1年時点の退院率については、平成29年度における目標を九十一パーセント以上とする。 ③平成29年度6月末時点の長期在院者数については、平成24年6月末時点の長期在院者数から十八パーセント以上削減する。 ※既に入院後3ヶ月時点の退院率六十四パーセント以上、1年時点の退院率九十一パーセント以上を達成している都道府県においては、その数値を維持又は上昇させることを目標とする。 20ページ (3) 目標設定の考え方等 ①入院後3か月時点、1年時点の退院率 本県の精神科病院の在院患者の入院後3か月時点、入院後1年時点の退院率は、それぞれ六十八点五パーセント、九十一点八パーセントとなっています。(図 参照) 本県の退院率は、国の基本方針で示された目標数値を既に上回っていることから、目標設定にあたっては、過去十年間の退院率で最も高かった数値(入院後3か月時点:七十点八パーセント、入院後1年時点:九十二点六パーセント)を目標値とします。 図Ⅲ-2-1、退院率の推移の説明 説明 3か月時点 平成17年度六十九点三パーセント、平成18年度六十四点五パーセント、平成19年度六十八点一パーセント、平成20年度七十点八パーセント、平成21年度六十九点九パーセント、平成22年度六十四点四パーセント、平成23年度六十二点一パーセント、平成24年度六十五点八パーセント、平成25年度六十八点五パーセント、平成26年度六十六点四パーセント 1年時点 平成17年度八十九点六パーセント、平成18年度八十五点八パーセント、平成19年度八十六点九パーセント、平成20年度九十二点六パーセント、平成21年度九十二点四パーセント、平成22年度九十一点三パーセント、平成23年度八十九点四パーセント、平成24年度九十一点五パーセント、平成25年度九十一点八パーセント、平成26年度九十二点四パーセント ②1年以上在院者数 本県の精神科病院の1年以上の長期在院者数は、平成24年6月末現在で千九百八十四人となっており、近年は減少傾向となっています。(図 参照)。 図Ⅲ-2-2、1年以上の長期在院者数の推移の説明 平成17年度二千二百九十人、平成18年度二千百九十六人、平成19年度二千百三十三人、平成20年度二千百五人、平成21年度二千四十五人、平成22年度二千六十四人、平成23年度二千七人、平成24年度千九百八十四人、平成25年度千九百九四人、平成26年度千八百六十九人 目標設定にあたっては、国の基本指針どおり、平成24年6月末時点から十八パーセント以上の削減を目指すこととし、千九百八十四人から十八パーセントの減少を見込んだ千六百二十六人を目標値とします。 21ページ (4) 目標達成への取り組み ○精神障害のある人が安心して暮らしていくためには、まわりの人々が精神障害について理解を深めることが必要ですので、精神障害についての正しい知識の普及や啓発活動などを通じて、県民一人ひとりの理解が進むよう取り組みます。 ○改正精神保健福祉法により見直された医療保護入院者の退院促進に向けた退院後生活環境相談員や医療保護入院者退院支援委員会等の手続きについて、精神科病院への指導を徹底するとともに必要な助言を行うことで、新たな長期入院を生まないための取り組みを強化します。 ○入院中の精神障害のある人が退院する際、また、その後の生活について、様々な場面で仲間どうしのサポートが有用とされていることから、ピアサポート活動が積極的に行えるよう支援を行います。 ○「地域移行支援」や「地域定着支援」を実施する指定一般相談支援事業所やサービス等利用計画を作成し地域生活の支援を行う指定特定相談支援事業所の設置を促進し、市町村や障害福祉サービス事業所と連携して相談支援体制の充実を図ります。(再掲) ○独立した生活を目指す人が支援を受けながら生活するグループホームの充実を図るため、施設整備に対する助成を行いながら積極的に整備を進めます。(再掲) ○精神障害のある人が地域で安心して生活ができるよう、日中の活動の場として、創作的活動・生産活動や交流活動の機会を提供する地域活動支援センターや生活訓練など日中活動系サービスの充実を図ります。 22ページ 3 地域生活支援拠点等の整備 平成29年度末までに地域生活支援拠点等を各圏域に1つずつ整備します。 (1) 目標設定の考え方等 平成24年度に成立した「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」における衆参両議院の附帯決議を受けて、国は平成25年10月に「障害者の地域生活の推進に関する議論の整理」を取りまとめました。その中では、地域における居住支援に求められる機能として次のものが挙げられています。 ①相談(施設・病院からの退所・退院、親元からの自立等) ②体験の機会・場(一人暮らし、グループホーム等) ③緊急時の受け入れ・対応(短期入所の利便性・対応力向上等) ④専門性(人材の確保・養成、連携等) ⑤地域の体制づくり(サービス拠点、コーディネーターの配置等) これを踏まえ、基本指針では、上記機能を障害者支援施設やグループホームに付加する拠点(複数の事業所等が分担して面的に整備する場合を含みます。以下「地域生活支援拠点等」と言います。)を二十九年度末までに各市町村又は各圏域に一つずつ整備することを目標とすることとされました。 本県では小規模な町村が多く、また障害者支援施設や障害福祉サービス事業所等が偏在していることから、各圏域にある障害者支援施設等を核として、圏域内の複数の事業所が連携を図りながら、地域における居住支援に求められる機能を分担することを目指すこととします。 (2) 目標達成への取り組み ○それぞれの地域における必要な機能等について活発に議論がされるよう、各市町村等の自立支援協議会を支援するとともに、圏域内の市町村や施設・事業所が課題意識を共有できるよう連携を図ります。 ○「地域移行支援」や「地域定着支援」を実施する指定一般相談支援事業所やサービス等利用計画を作成し地域生活の支援を行う指定特定相談支援事業所の設置を促進し、市町村や障害福祉サービス事業所と連携して相談支援体制の充実を図ります。(再掲) ○地域での独立した生活を目指す人が支援を受けながら生活するグループホームの充実を図るため、施設整備に対する助成を行いながら積極的に整備を進めます。(再掲) ○短期入所を併設するグループホームの整備を進めます。 ○グループホームのサテライト型住居の整備を進めます。 23ページ 4 福祉施設から一般就労への移行等 (1) 福祉施設の利用から一般就労への移行 平成29年度における福祉施設から一般就労へ移行する人の目標 八十四人  ①これまでの実績 福祉施設の利用から一般就労に移行した人は、就労移行支援事業や就労継続支援事業の利用者数の増加に伴って、平成24年度までは増加が続き七十五人に達しましたが、平成25年度は減少し五十三人でした。(図 参照) また、平成25年度の公共職業安定所(ハローワーク)における障害のある人の就職件数は四百六十七件と平成十八年度以降で最高を記録し、就職率も四十六パーセントと高い水準でした。(ページ 図 参照) 図Ⅲ-4-1福祉施設利用者の一般就労への移行実績 平成17年度十八人、平成18年度十八人、平成19年度二十九人、平成20年度三十四人、平成21年度四十六人、平成22年度六十二人、平成23年度六十三人、平成24年度七十五人、平成25年度五十三人 ② 目標設定の考え方 地域のサービス提供基盤の整備状況等の他、計画策定にあたって県及び市町村が実施したアンケート調査の結果などを参考にしながら市町村が見込んだサービス利用量の算出結果では、今後、就労移行支援事業や就労継続支援事業の利用者数が大幅に増加することは見込まれないことから、福祉施設の利用から一般就労に移行する人の目標を八十四人と設定します。 ③ 目標達成への取り組み ○障害のある人が生きがいを持って生活できるよう、就労移行支援や就労継続支援事業の充実を図り、職業訓練や就労の場を確保します。 24ページ ○障害のある人の雇用義務がある従業員数五十人以上の民間企業を中心に訪問活動を行い、障害者雇用について啓発するとともに、障害のある人の雇用促進を図ります。 ○企業等への就職を希望する人などを対象に、必要な知識・技能の習得や企業等での職業訓練を行う障害者委託訓練事業を積極的に実施して、障害のある人の一般就労を促進します。 また、障害者就労支援機関に障害者職業訓練コーディネーターを配置して、職場実習から職場定着まで一貫した支援を継続できるよう体制を整備します。 ○企業等に就職している障害のある人が、就業後や休日に集まって交流できる場を整備し、就労や生活等に関する相談支援を併せて行うことで一般就労後の職場定着に向けた支援を強化します。 ○就労継続支援事業所の自主製品の製造や清掃活動へのマネジメントシステムの導入など、職業訓練を充実・強化することによって、利用者の就労意欲の醸成を図ります。 (2) 就労移行支援事業及び就労継続支援事業の利用から一般就労へ移行する人の数 平成29年度において、就労移行支援事業及び就労継続支援事業の利用から一般就労へ移行する人の数 八十四人 (3) 公共職業安定所におけるチーム支援を受ける人の数 平成29年度において、福祉施設利用者のうち、公共職業安定所におけるチーム支援を受ける人の数 五十九人 *平成23~25年度に福祉施設から一般就労へ移行した人のうち、公共職業安定所を利用した人の割合 約七十一パーセント(以下同。) (4) 障害者委託訓練事業の受講者数 平成29年度において、福祉施設から一般就労へ移行する人のうち、障害者委託訓練を受講する人の数 十七人 *障害者委託訓練を利用した人の割合 約二十一パーセント 25ページ (5) 障害者トライアル雇用事業の開始者数 平成29年度において、福祉施設から一般就労へ移行する人のうち、障害者トライアル雇用事業を開始する人の数 二十八人 *障害者トライアル雇用を利用した人の割合 約三十四パーセント (6) ジョブコーチによる支援対象者数 平成29年度において、福祉施設から一般就労へ移行する人のうち、ジョブコーチによる支援の対象となる人の数 二十一人 *ジョブコーチによる支援を利用した人の割合 約二十五パーセント (7) 障害者就業・生活支援センターの支援対象者数 平成29年度において、福祉施設から一般就労へ移行する人のうち、障害者就業・生活支援センターの支援を受ける人の数 三十六人 *障害者就業・生活支援センターを利用した人の割合 約四十四パーセント 24ページ、25ページの語句の説明 委託訓練事業とは、就職に必要な知識や技能を修得するため、企業や民間教育訓練機関等において、OA事務講習や職場体験などの職業訓練を行う事業をいいます。 トライアル雇用(障害者試行雇用)事業とは、企業などの事業所が、障害のある人を試行雇用(トライアル雇用)することにより、その適性などを見極め、相互理解を促進することで、本格的な雇用に取り組むきっかけを作る事業をいいます。 ジョブコーチ(職場適応援助者)とは、障害のある人や事業主などに対して、雇用の前後を通じて障害特性を踏まえた直接的、専門的  な援助を実施する人をいいます。 障害者就業・生活支援センターとは、障害のある人が就労し、経済的に自立していくため、身近な地域で就職面の支援と生活面の支援を一体的に行う機関です。