公開日 2025年09月02日
1 室戸市人口の1万人割れについて
2 NHK受信料の未払いについて①
3 県立施設の指定管理公募について①
4 四国新幹線整備について①
5 四国新幹線整備について②
6 四国新幹線整備について③
7 四国新幹線整備について④
8 四国新幹線整備について⑤
9 黒潮大蛇行の終息について
10 最低賃金改定について
11 NHK受信料の未払いについて②
12 県立施設の指定管理公募について②
12 県立施設の指定管理公募について③
12 県立施設の指定管理公募について④
12 県立施設の指定管理公募について⑤
12 県立施設の指定管理公募について⑥
(司会)
ただ今から知事記者会見を始めます。まず、幹事社質問をお願いします。
室戸市人口の1万人割れについて
(栗原・時事通信社記者)
県は先日、室戸市の推計人口が1万人を割り込んだと公表いたしました。四国では初めての現象であり、全国でも北海道以外に公式の数字として発表している自治体は確認されておりませんが、これを受けて知事の所感をお願いします。
(知事)
お話がありましたように、この8月1日時点の高知県の推計人口を発表する中で、室戸市の人口が1万人の大台を割り込みました。この点は、高知県全体が全国の中では高齢化が進行しているということもありますが、室戸市は県内でもさらに高齢化が進んでいる市でありまして、高齢化率も54.8%ということであります。そうした意味では、全人口年齢の構成からしますと、構造的に大きい自然減が続いていくということは、もう想定せざるを得ないということだと思いますし、元々国立社会保障・人口問題研究所の行った令和5年の推計でも、2025年には室戸市の人口は、1万人を割り込む予測もされていたと承知をしております。
そういう意味では、こうした過去からの積み重ねであります人口の年齢構成、年齢構造、こういったものを反映して、室戸市の人口減少が、ほぼこれまで想定されてきたようなペースで減少が進んでいると受け止めるべきものではないかなと思います。
こうした状況に関しましては、県全体でも元気な未来創造戦略を策定いたしまして、人口減少の克服に取り組んでおります。室戸市におきましても、例えば、ジオパークの取り組みや、廃校水族館に象徴されます観光振興の取り組みをされたり、あるいは関西圏などからの、若者の漁業での移住促進といった取り組みをされたりということで、いろいろな努力はされていると思いますし、今回、県の元気な未来創造戦略と呼応する形で、人口減少対策の総合交付金を活用いただく前提として、室戸市の地域においても、総人口の減少は避けられないにしても、若年人口ですね、35歳以下の人口の減少は、ここ数年で食い止めていくという目標を掲げていただいて、例えば、移住者用のアパートの整備に補助金を出すといった、新しい施策も展開されていると承知しております。
そうした意味で、この人口減少は県、それから各市町村と共通しました、やはり大きな、最大の政策課題の一つという認識は私も変わりませんので、室戸市の区域に関しても、一緒になりまして人口減少の克服に向けて、早く道筋がつくように努力をしていきたいと思います。
NHK受信料の未払いについて①
(栗原・時事通信社記者)
全国の自治体でテレビやカーナビのNHK受信料の未払いが、発覚する事態が相次いでおり、高知県も過去に同様の事例がありました。受信料は避難所などのあまり使用頻度の高くない機器にも課されたため、財政規模が小さい市町村には負担となり、毎月支払うことへの必要性を問う声もありますが、知事の所感をお願いします。
(知事)
お話がありましたように、公用車のカーナビの受信契約の問題につきまして、本県でも過去数年の間に2回ほど、本来契約を結ぶべき事案で、できていなかったことが判明して、対応したことがあったようであります。
事の制度の枠組み自身は、放送法の規定によって、官公庁ですとか企業がNHKの放送受信可能なテレビ、カーナビなどを設置した場合には、設置の場所ごとに受信契約が必要とされています。一般のご家庭の場合は1台の分を払えば何台持っても、そこは追加する必要はないというルールのようですが、法律でこうしたルールが決まっている以上は、支払い義務があるものは、しっかり支払っていくことをしなければいけないというのは、これは国とか地方公共団体は、それを率先して行うべき立場でありますから、これは当然、それには従わざるを得ないと思います。
ただ、敢えて申し上げますと、それは一種、悪法も法なり的な側面が、必ずしも否定できないところはあるのではないかと思いますし、仮にこれがもちろん行うべきものだとしても、なかなか普通の職員には、公用車のカーナビについても必要だという認識が薄かったのは事実だと思いますので、例えば、もう少しNHKなり、メーカーさんなりから、こうした受信契約をする義務があるんですよというような周知を、もう少ししていただくとか、さらに、そもそもで言えば、今小規模市町村のお話がございましたが、例えば、今のルールでいくと、避難所ごとにテレビを置いておくと、普段ほとんど使わないものについても、1台いくらの受信料を払わないといけないということに、今の制度だとなるわけでありますので、今の制度が有効に施行されている限りは従わなければいけないのは、そうだと思いますが、いわば立法論として、この制度が今のままでいいのかということについては、かなり議論があり得るところではないかと思います。
この点は、夏の全国知事会議でも岐阜県の知事さんから、これは知事会としても問題として取り上げて検討すべきではないかという問題提起もあり、知事会の総務常任委員会で議論をしようということになっておりますので、我々としても、その議論の行方を注視しますとともに、必要があると感じました時には、県としても意見を言うということを考えたいと思います。
(司会)
各社からの質疑に移ります。質問のある方は、挙手の上、社名とお名前を発言してから質問をお願いします。
県立施設の指定管理公募について①
(井上・高知新聞社記者)
県立美術館など、文化的施設の指定管理者を直指定から公募に切り替える方針についての質問をいたします。8月9日までパブリックコメントを行っていましたけれども、これまでにも該当する対象施設や学芸員さんたちからは反対や不安の声もありました。パブコメも終わって、その状況であったり、その後の対処方針というのが進展があれば教えていただきたいと思います。
(知事)
いわゆるパブリックコメントが今月の上旬までで終了いたしました。いただいたご意見の数が、先日の会見の時点では100者程度とお答えしましたが、特に新聞報道などもされたこともあろうかと思います。その後も寄せられたご意見の数は増えまして、県内外300者程度の方からご意見の提出があったと報告を受けております。
主なご意見としまして、慎重論といいますか反対論といいますか、としての論点は大きく言って二つだと思います。一つは文化施設に収益性を求めることについての反対意見、いかがなものかというご意見。もう一つが、いわゆる今の直指定から公募方式に切り替えにより、今の学芸員の方々などの雇用の不安が生じるのではないか。これをどう考えるのかと。主な論点は、この2点ではないかと考えます。
こうしたことを踏まえまして、我々として説明が不足していると考える点については、しっかりと改めて説明を行っていくということ。これはどちらかといいますと、先ほどの文化施設に収益性を求めるということについて、ここはかなり、我々が実際的に考えていること以上にというか、それを越える形での大転換というイメージで捉えられている、誤解を受けている面もあると思いますから、こういった点について説明が不足している点は、しっかり説明をしていくと。
そして、雇用不安の解消に関しましては、例えば、必要であれば、仮に公募によって管理者が切り替わるという時には、雇用の継続を担保する措置を考えるんだということを、提示していくということになろうかと思いますが、こういった点について、しっかりとご説明をし、あるいは対策を講じていく立場を明らかにしたいと思います。
具体的な今後の進め方につきましては、来月に入りますと、もう9月議会が始まりますので、その中で委員会の報告も含めて、県としての考え方をご説明することになりますが、それに先立って来週ぐらいからは、当事者の関係団体の方に、県としてまとめた考え方も説明させていただき、また意見交換もして、その上で9月県議会に臨んで、県議会でお諮りをするというところも含めて、プロセスを経た上で、9月議会の終了後に新たな方針を最終決定し、施行に移すといった段取りで進めたいと考えております。
(井上・高知新聞社記者)
関連しまして、先ほど説明がありました雇用不安の払拭の部分ですけれども、知事も必要とあれば、希望される方の、いわゆる雇用を継続するような条件・要件というものも検討していくということですけども、これは、まだ方針として、何か固まったものとまでは言えないでしょうか。
(知事)
具体的には、この対象になっている財団の中で、山内財団は、今の城博の指定が年度末で切り替わると思いますから、これで具体的に決めていかなければいけないということで、これは余り時間がないことだと思いますので、早々に結論を出さないといけないと思いますが、一般論として言えば、この方向性として一番ヘビーにいけば、先ほどお話があったように、公募をしても、それを受け入れるには雇用の継続を約束してもらうことが条件だという非常に重いものから、もう少しニュートラルに近いものとしては、以前も申し上げましたが、いろいろな公募の後の審査の過程で、サービスの中身とか価格とか、いろいろ採点をする際に雇用の継続、安定性、継続性といったところを配点を思い切って高くして、重視するというようなこと。さらに軽くなれば、しっかりとした雇用の継続に関しての具体的な計画を提示させて、そこをしっかり審査すると。
いろいろなバリエーションといいますか、グラデーションはあると思いますので、そうした中で、当面、山内財団については、もう具体的な公募に移行するとしますと、公募に移行しないにしても、次の指定管理に向けたプロセスは、動き出さないといけないということになりますので、当面の山内財団の対応については、早く結論を出さないといけないと思っています。
(井上・高知新聞社記者)
その、まさに土佐山内財団の件なんですけれども、公正な公募ということを考えた時に、当然、今指定管理を受けている山内財団のこともそうなんですけれども、新たに参加したいとか、手を挙げたいと言う企業、団体に向けても、やはり公募の方針というのは、より早く示さないと、手を挙げることさえも、いわゆるハードルをつくってしまうようなことにもなりかねないと思って、今のスケジュールのまま、来年度に向けての切り替え方針というスピード感が、かなり公正な公募というところに合致するのかなと思うんですけれども、その辺りは。
(知事)
おっしゃるように、公募が実質的な意味として機能し得るような準備期間なり、スケジュール設定は大事なことだと思いますので、今回この問題があって、前回の山内財団の切り替えの時に比べると、準備がやや遅れ気味というところはあると思いますから、スケジュールの設定については、今お話があった点も含めて、合理的な期間をおいて、公募もできるし、審査もできる、あるいはいろいろな検討もできるといったスケジュール設定のあり方はしっかり検討し、決定したいと思っています。
四国新幹線整備について①
(古谷・読売新聞社記者)
21日の日に東京で開かれた四国新幹線整備促進既成会のことでお伺いします。知事のご発言は、動画でも拝見させていただきましたけれども、その後、国交省なりお訪ねして、いろいろな話があったと思うんですけれども、今回も手応え、あるいは受け止め、これを合わせて、今後への見通しをお伺いできればと思います。
(知事)
新幹線の導入の関係でありまして、これが先々週ですか東京での大会、1年振りでありましたが、また前年に比べて、ここのところ毎年盛り上がりが顕著になっているなという思いがありました。今年も昨年の100名程度を上回る規模でお集まりをいただきましたし、全体、その後の自民党の四国選出の国会議員の方々との意見交換とか、国交省の専管への要望提言活動も含めて、印象、感想を申しますと、機運は高まっていると思いますし、国土交通省も当日、来賓紹介の中で担当の審議官が「四国の皆さんの怒りと熱い思いを痛感しました」というコメントもされていました。
そうした意味で、四国の、今回の署名の重みも含めて、四国の皆さんの盛り上がりは、国の関係当局、ないしは政界関係者にも改めて感じていただいたと思います。
そうした中で、私自身は特に南海トラフ地震対策としての重要性を申し上げたつもりでありますが、全体を通じまして、この新幹線の整備の全国的な今の構図を見ますと、進捗しています整備新幹線の北陸であったり、北海道であったりが遅れ気味であります。特に北陸はある意味、今さらでありますがルートが元々、改めて米原経由がいいんじゃないかとか。京都の地下を通るルートは環境保全の面から問題があるんじゃないかとか、そういう問題があって、地元での意見調整の関係で、整備新幹線先行してるのが遅れ気味というところがあります。
そうした中でも、今まで国交省の立場は、まず、今やっている整備新幹線を仕上げるのが先だという立場でしたが、なんでそこまで四国が待たないといけないのか。全体の予算の枠は決まっているから、まず先行してやっているところを優先しようと。ここまでは分かりますが、先行してやっているところが、先方の事情で事業が停滞しているということであれば、少なくとも調査だけでも四国を先にさせていただく。四国ないし基本計画路線の方を考えてもらってもいいんじゃないかと。これは気持ちとして、四国の関係者共通してそういった意見が、今回の大会、あるいは提言要望の中でも大きく盛り上がっておりました。
そういった点も含めて、一種の政治決断として、これだけ四国の皆さんの思いが盛り上がっている中で、目に見える形で何らかの前進、来年度の予算編成の中で図る必要があるんじゃないかということに関しては、かなりの程度、コンセンサスといいますか、合意形成ができてきているのではないかという思いを強くしたところであります。
四国新幹線整備について②
(古谷・読売新聞社記者)
合意形成というのは、四国のメンバーではなく、自民党とかその辺り、あるいは国交省なんかでも、その部分の合意という、形成という意味ですか。
(知事)
これは具体的に、どういう形でとまではございませんが、一種の雰囲気、機運として、今までに比べますと、何らか目に見える形で前へ進むことが、それは当面、調査という形であろうと思いますが、まず調査から着手していかなければいけないのではないかというのが、何か形になるものがないと、これはいわば政治的にも、もたないのではないかという思いが与党を中心に、国会の議員の方々、あるいは担当官庁である国土交通省の方々にも、かなり伝わってきているのではないか。浸透してきているのではないかと。これは私の感触でありますが、そういう印象を受けたということであります。
四国新幹線整備について③
(古谷・読売新聞社記者)
形になるものというのは、法定調査に向けた予算ということになるんでしょうか。
(知事)
ここの中身はやや微妙なところがありますが、今はとにかく全く白紙で、数年あるいは10年という大台は過ぎていると思いますので、何らかの調査、いわゆる新幹線の整備計画への格上げに必要な、いわゆる法定調査は、我々の満願の要望提言でありますけども、いろいろな議論の中では、そういう位置づけができる、するかどうかは別として、だいぶ時間も経っていますから、改めてのフィージビリティの調査、そういったものが、予算の形で必要じゃないかといったご意見も一部にはあったと認識しております。
四国新幹線整備について④
(古谷・読売新聞社記者)
先ほどの大会での知事のご発言もありましたけども、今後の進め方としては、知事としては、やはり南海トラフでの緊急輸送路の確保という部分を前面に出していかれるということになるんでしょうか。
(知事)
もちろん、経済の活性化ですとか、そういったところからも、ぜひとも早く整備をお願いしたいというのはありますが、四国4県の中でそれぞれの立場を、ある意味、役割分担して分かりやすく説明していくという立ち位置の中で言いますと、本県の場合、やはり南海トラフ地震発生時の大量輸送の足の確保というところは、一番アピーリングなポイントではないかと思いますので、これをとにかく、南海トラフ地震に間に合うように、これもそれこそ調査を始めて、測量したり設計したりしてれば、すぐに5年、10年経ちますから、そのためには、早く着手してもらわないといけないということを訴えていきたいと思います。
四国新幹線整備について⑤
(古谷・読売新聞社記者)
その予算ということになったら、月末にもう概算要求の時期を迎えますけれども、今後、具体的に働きかけとして、どのタイミングをどう見計らってやるという、何か描いているものがあれば、お聞かせいただければと思います。
(知事)
これは四国4県なり4経連さんなどとも相談しながらと思います。国の予算編成過程が少数与党体制の中でどうなっていくかというところも、いわゆる、流動要素もあると思いますが、そうした情報収集をしっかりしまして、いずれにしても、年末の予算編成、政府案の決定というのが、一つの節目であることは確かだと思いますので、当面、概算要求の中身も見極めて年末へ向けて必要な対応を考えてまいりたいと思います。
黒潮大蛇行の終息について
(中川・NHK記者)
黒潮大蛇行についてお伺いします。気象庁が今日、日本の太平洋側を流れる海流が南に大きく湾曲する黒潮大蛇行について、4月に終息したというふうに発表されました。過去最長に及んだ黒潮大蛇行ですけれども、県内の水産業においても、一部の魚において不漁になったなどといった指摘もされていますけれども、そうした中で終息というのが資源の回復にもつながるんじゃないかという期待の声も上がっております。知事の受け止めをお伺いできればと思います。
(知事)
お話がありましたように、いわゆる黒潮大蛇行が、今回のものが2017年から約8年間にわたって発生しておりましたものが、この4月ごろですか、終息したと判断されるという発表が、気象庁から本日あったと承知しております。
この黒潮大蛇行は1965年以降6回発生しておりますが、この度終息した直近の大蛇行が、この中で最も長いものであったと言われております。この黒潮大蛇行の影響によりまして、海流の流れが変わってくるという影響がありまして、本県の主な釣り漁業対象の魚種のうちでいいますと、カツオやキハダマグロの漁獲量は増加する効果が出ていると分析しております。
一方で、ブランド化などの取り組みが進みまして、県内各地域で重要な魚種に位置づけられておりましたキンメダイですね、室戸沖であったりということでもあります。あるいは、ゴマサバ、清水サバとしても有名でありますが、こういったところの漁獲量は大きく減少するということで、魚種によって状況は異なりますが、黒潮大蛇行の影響が、釣り漁業においても大きな影響を与えてきた事実はあると考えています。
今回、大蛇行が終息することによりまして、低調でありましたキンメダイ、サバなどの漁獲量は回復が見込まれるのではないかと思いますので、こうしたことで、地域経済に寄与することを期待したいと思いますし、逆に、カツオやキハダマグロは、今までの増加した水準からしますと、逆に減少も懸念されると思いますので、よく状況については注視し、データの収集・解析を行いまして、必要な振興策などについて、必要があれば、しっかり講じていくスタンスで対応したいと考えております。
最低賃金改定について
(伊藤・共同通信社記者)
最低賃金に関してご質問させていただきます。赤澤賃金向上担当大臣が愛知県、福岡県で知事と面会されるなど、各地に引き上げを呼びかけております。地方自治が尊重されるべきところで政治介入ともいえる動き、知事はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
最低賃金の問題に関しまして、内閣では赤澤大臣が賃金向上担当大臣ということで、先般、愛知県、福岡県で知事と面談されたと承知しております。これは、最低賃金の引き上げに向けまして、各県でも、企業の生産性向上などの賃上げに向けた環境整備をしていく必要があるという観点から、県レベルで、こうした政策努力について協力をいただきたいと、そういう趣旨で要請が行われているのではないかと受け止めております。
ご案内のように最低賃金そのものは、これは県が決めるという権限は付与されておりませんので、国の労働局に設けられた審議会で決定されるということでありますから、最低賃金そのものについて、知事に大臣から話があるというのは、筋道がやや違うということだと思います。しかし、現実に最低賃金を上げていくとなると、それに耐えうる企業の生産性向上がないと、持続可能性がないということになりますから、そうした環境整備に県もしっかり協力してもらいたいと。国も支援策を準備していますというお話があったのではないかと拝察しております。
そうしたことでありますので、本県の方も、本日、午前中審議が行われたとお聞きしておりますが、私自身としましては、人口減少が進む中で、その対策として、今取るべきベクトル、方向性、ないし中長期の在り方としては、最低賃金を上げていく、都会以上に上げて格差を縮小していくというのが目指すべき方向だと思いますが、片方で、じゃあ今年、来年の最低賃金を具体的にいくらにするかというのは、これは国の法制の中で審議会が設けられて、3者構成の中で結論を出すというスキームになっておりますので、そこについては、この審議会で決定された結論が、尊重されるべきだろうと思っているところであります。
NHK受信料の未払いについて②
(栗原・時事通信社記者)
先ほどの放送法の関連で確認したいことがあるんですけれども、職員の方々がカーナビ等に課されるというのは、普通は認識が薄いのが事実ということをおっしゃる前に、悪法も法なりというようなことをおっしゃったと思うんですけど、聞き間違いだとすみませんけれど、その辺りの意図をお願いします。
(知事)
これは、全く私の想像でありますが、先ほど申し上げましたように、一般家庭の場合は1台分契約していれば、子機みたいな形で何台買っても、別に重ねて契約する必要がないというようなことなどもありますと。よっぽど放送法とか受信料の制度に詳しい人は分かっておったと思いますが、そうでない人は、特に普段使わないカーナビのテレビ機能をもって、県として、あるいは市町村として、団体として事業者として契約をしなきゃいけないというのは、想定の外だったという場合も少なからずあるのではないかなと。それが勉強不足だと言われれば、お叱りを甘んじて受けなければいけないかもしれませんが、それにしても、やはり法令遵守ということからすれば、私自身の感覚からすれば、そういう実態が無きにしも非ずではないかという思いがありますので、その辺の周知をもう少しやっておいていただければ、状況は違ったかもしれないと、そういう思いを申し上げました。
(栗原・時事通信社記者)
それを、そうするのに知らなくても課されるという事実がある。それは従わないといけないっていう意味で、悪法も法なりという言葉を使った――
(知事)
それも制度ですので、法の不知は許されないと思いますので、制度としてある以上は、知らなかったから払わなくていいということにはならないと思います。
県立施設の指定管理公募について②
(谷川・高知新聞社記者)
前回の記者会見でも質問させていただきました県立施設の指定管理の公募についてです。前回は、政策決定のプロセスの部分について伺ったと思うんです。それに、関連したいんですが、知事がおっしゃるように、ある一部の団体で離職が相次いでいて、そうしたことも含めた処遇改善の必要性が求められていて、それを発端に、今回の公募方針を固められたということは、そこは理解するんですけれども、一方で、そうした処遇改善だったり、知事がおっしゃる自由な発想での新しい事業をして、収益を増やしたいというところの部分は、他の文化施設から、そういった要望なりが上がってきていたのかどうか。もしくは、それを県の担当部署の方々と情報共有していたのかどうかというところを、まず教えてもらえますか。
(知事)
分かりました。問題は、やや複層的になっている部分があります。直接の動機は、先ほど申し上げましたように、ある一部の財団、牧野財団ですが、離職者が相次いでいると。これは県議会の質問でも取り上げられまして、これは、名指しで対策が必要ではないかというお話を、質疑をいただいたと。この辺が、まず検討が必要だと云うところの端緒になったのは事実であります。
それと一つは、今、県の経済も人口減少の中で、これは、日本全体がコストカットで切り詰めていくことで利益を上げるのではなくて、むしろ新しいサービス、付加価値の高いサービス、高くても消費者が買ってくれる、購入してくれるサービスを生み出していくという価値創造型の経済に変わっていかないといけないという、それを県としても、民間の事業者が、ある意味脆弱な高知県経済ですから、県の持てる政策範囲の中でも、率先してやらなければいけないという背景が一つあるということであります。
もう一つあえて申しますと、私自身、この外郭団体の関係の問題に関しては、特に指定管理者の問題については、県が直営でなくて、わざわざ指定管理者に委託料を払って、消費税分まで上乗せして払ってやってもらうわけでありますから、県の直営ではできない、民間の活力も活用した創意工夫で、新しいサービス、県でできないサービスをやってもらうということでないと、指定管理者制度を取っている意味が半減してしまうんじゃないかという思いがあります。
そのためには、県の縛りは最小限にして、団体の自主的な判断で運営ができる、収入が上がったら上がった分だけ県が取り上げるのではなくて、その使い道は団体で決められるという、自律性の向上をしていかないといけないんじゃないか。こういった過去からの流れも含めた重層的な問題意識の中で、今回の方針を打ち出したということでありますので、そういった意味で、先ほどお話があった、うちの団体は別に離職も生じていないから、そこまでして、無理して利益あげたり、収入を上げたり、処遇改善の必要はないんだというところについては、私はそうはいっても、やはり団体の自律性を上げて、それであれば本来、例えば、文化にもっとお金を使いたいと、こんな事業がやりたいんだと、自主事業として、そこにお金を回していただく形で、それは財団ですから、独立した財団として判断をしていただければいいので、そこはやはり、それぞれが県の指令で箸の上げ下ろしまで、全部県で指示して、利益も損失も全部県で背負うというのでは、何のために別団体でやっているか分かりませんから、そこは、団体に任せる以上は任せて、裁量の幅を持たせていくことがオール県庁といいますか、広い意味の県の関係団体としての経済財政運営というゆえんの貢献というところも含めて、あるべき望ましい姿ではないかという思いがあって、今回の制度改正を提案しているということであります。
県立施設の指定管理公募について③
(谷川・高知新聞社記者)
もう一つだけ関連して。ということは、例えばですけど、外部の有識者の方々の意見を聞いたりとか、声を聞いたりして、検討会を開くなどして、今回の公募方針に至ったということではないということですか。県の方針を。
(知事)
この件に関しては、改めて特別の有識者の会議を開いたということはありません。県民の代表であります県議会で問題提議が行われて、制度として、ある意味、もう20年間全国的に行われている制度でありますから、そういったものの運営の実態も踏まえて、こうした方向で改革をすべきではないかということを考案をし、パブリックコメントにしたということであります。
県立施設の指定管理公募について④
(中田・高知民報記者)
指定管理です。誤解があると、そんなに心配せんでもええのだということでおっしゃっておりますけれども、そもそも6月の議会の説明では、もう各財団にもオーケーもらっているというお話だったと思います。概ね賛同はもう得られているんだというお話だったにもかかわらず、ここまで反対の声が盛り上がると。それが、現場の方、もちろんそうです、そうなんですけど、その現場の方に限らず、例えば、元県のOBの財団の幹部の方も押しなべて、皆さん、これちょっといかんところやという話を、皆さんされていると思います。何か、そこがどういうことなのかなっていうのが、よく分からんのですが、やっぱり総務部と知事はやれやれと言っているけども、他はみんな、ごめんちょっと待ってやっていう話に、担当部も含めてなっているように僕は思いますけれども、そこ辺の認識いかがでしょうか。
(知事)
最終的なこの問題の決着点というのは、県政運営指針の改正ということだと思いますから、そこへいくまでの過程で、先ほど申しましたように、端緒は2月の県議会で議論があったということだったと思いますが、関係者と意見交換をしながら進めてきたということだと思います。6月議会の段階で申し上げましたのは、関係の団体にもこういう構想を検討していると、進めようとしているということについて説明はして、その中身については、理解をしたという言葉の意味は微妙ですが、賛成という意味は必ずしもなくても、県が何を考えているかということは理解したというレベルでの理解は得ていたと私は思っております。その後、パブリックコメントという正式の過程を、正式といいますか県民の皆さん全般に関してご意見を聞く過程の中で、お話のような形で、より過激に、何ていいますか、先鋭化した形で意見が出てきているのは事実だと思います。
ただ、先ほど申しましたように問題がかなり複層的であったり、この予算の措置をどうしようとしているか。さらには、別に処遇改善に使いたくないというところについては、それはまさしく団体の自主性、自律性の向上が最終目標ですから、そうしてもらうということも、別に我々は排除はしていないんだという部分まで含めて、具体的に進めていく中でのいろいろな論点の広がりがある中で、いろいろな疑問点が出たり、ご意見が出たりということではないかと思っておりますが、そこは、そうした論点も今回のパブリックコメントを含めて、大分整理ができたと思いますので、我々なりに説明が足りなかった、あるいは誤解が生じているんではないかというところは、より丁寧に説明をして前へ進みたいと思っております。
県立施設の指定管理公募について⑤
(中田・高知民報記者)
かなり厳しい結果のパブリックコメントになっていると思いますけれども、これを受けて方針の変更なり見直し的なことは、さっきの山内の時に、やるかやらんかみたいなことも含めてだったので、どんな結論でもこのままいきますって話ではないようにおっしゃったと思いますけれども、それはそういう可能性があるのかということと、変更するなり期限を延ばすとかみたいなことがあるのかとかをいうことですね。
それと、雇用の話をされますけれども、雇用を言っているわけではないんで、もちろん雇用は不安ですけれども、というよりも、これほど不安が高まっているっていうのは、要は、知事の文化行政に対する姿勢といいますか、そこが、いうたら軽んじていると、分かってないということを、すごく憤っている感じがします。現場も含めての財団側の反発は。
例えば、大阪の文楽の補助の廃止みたいな、そういう文脈の、文化軽視みたいなことへの憤りが背景にあって、それで、いろいろ出てきているんじゃないかというような、取材して思いますけれども、そこはいかがですか。
(知事)
大きく論点は、文化軽視なり、文化と収益性が相容れないんではないかという話と、もう一つは、雇用関係の話があります。前段との関係でいえば、雇用の問題については、この点の方向が6月時点では、あまり明確でなかったと思います。先ほども申しましたが、例えば、審査に当たって、雇用の継続性とか専門性の確保、こういったところの配点を大きくするアイデアは提示しておりましたが、その域にとどまっておりましたので、これは、今回のパブリックコメントでいただいたいろいろな意見を踏まえると、先ほど申し上げた中では、もうちょっと踏み込んだグラデーションからいえば、よりヘビーな形での雇用の確保を図るような選択肢は、考えないといけないという認識には今ありますので、そういった意味での変更が、こちらの部分についてはあると思います。
(中田・高知民報記者)
雇用を、次の他の会社が取ったら全部雇うてもらうように義務づけますみたいな、そんなことが、公平性の意味で条件を課すことが、いうたら取らさんための条件みたいな話が公平性としてどうなのかっていうのは、そういう声も――
(知事)
どっちか取るしかないですよね。公平性といえば、ガラガラポンしなきゃいけないということでしょうけど。やはり、専門性とか継続性を確保するためには、雇用を確保しないといけないと思いますから。どっちを取るかという話だと思います。
(中田・高知民報記者)
公正な公募の在り方としての論点から、そこを懸念をしている方もおります。
(知事)
それはどっちか取らないとしょうがないと思います。公募してオープンに選考するのか、継続性を重視して、今の方の声を重く考えるのか。それは、もう二律背反ですから、そこはまさしく判断の問題だと思いますので、これはパブリックコメントも経て、我々として判断を、重きを、ウエイトを変えたと、変えようとしているとご理解ください。
(中田・高知民報記者)
それは可能だという枠組みとして、そういう公募の在り方も可能という判断なわけですね。
(知事)
もちろん、目的が事業やっていく、専門性とか継続性を確保していくという上であり、かつ本人が希望しないと言われればそれまでだと思いますから、希望する方について、一定の処遇でという、しっかり条件を付していけば、それは制度としてできないということはないと考えています。
県立施設の指定管理公募について⑥
(中田・高知民報記者)
それとすみません。今回、財団の、例えば、文化財団やったら文化財団全部を公募にするんですか。いうたら、5万人のとこの施設だけですか。
(知事)
考えていますのは、一定のそういう自律性を上げたら収入が、それなりに増えるというところでないとやる意味がないと思いますので、その施設の単位で考えております。
(中田・高知民報記者)
だから、自律性向上団体にされたけれども、そこの施設ごとによって、直指定であったり公募であったりということは、ばらばらになる。混ざるということですね。
(知事)
そこは致し方ないと思います。自主的に、もちろん収入があんまりよくない施設についても取り組みをやってもらうこと自身は、なんら我々はやめろという立場にはありませんけれども、我々が求めるのは、一定収入が上がっているような施設が対象という考え方です。